MENU

安納芋出荷の落とし穴

 安納芋は高い。

画像

同じサツマイモを栽培して出荷するなら、もっとも単価も高く、

出荷前提ならこれに手を出さない理由は無い。。。

 しかし、

安納という名前が地域名なのか、ブランド名なのか、、、

「他県・個人で安納芋という名前ではまず出荷は出来ない」

 これがまさかの盲点だ。

 例えば、○○みかんという特産物があったとして、

それを他県で作ったら、それは○○みかんでは無い。。

そういう事だ。

 おそらく、いや、間違いないであろう、

「安納芋」というのは、品種名ではなく地域の特産物なのでしょう。

 つまり商標登録されてる可能性も高い。まずされてるだろう。

なので、

いくら正規の安納芋の苗から栽培したとしても、

「安納芋」という名前では最終的に出荷は基本出来ないのだ。

 これはホント盲点です。

自分をはじめ、他の出荷者も直売所でこれにほとんど引っかかったw

 しいて表現出来るのは、「蜜いも」という表記。

安納芋という表記が使えないので、「蜜いも」という表記にせざるをえない。

 「安納芋」という名前は最近知れ渡っていますが、

「蜜いも」という名前は「それ、どんなイモ?」ってなる。。。

そして安納芋も、蜜いもの部類に入るが、蜜いもは他にもある。

繊維質の高い「紅はるか」も蜜いもと言えば蜜いもだ。

 「これは困った・・・;;」

600kgも在庫を抱え、これをいかに安納芋のように売るか。。。

切っても食べても、安納芋と遜色もない良い出来の年だった。

だけど、「安納芋」と表記出来ない。。。

 「う~~ん;;やってくれるぜ・・・::」

 使える最大限の表記は「蜜いも」

だったらそれ以外やりようが無い。

 って事で、POPを新調して作りました。

「イモの名前は蜜いも。ただし、捕捉の説明は安納芋そのもの。」

(※もちろん、捕捉文にも規制・違反はあります)

これで農協も文句は言えないはず。

 安納芋は今ではメジャーなお芋さんです。

「蜜いも?」これって「安納芋じゃないの?」

なんて見た目でわかる鋭い客もいる。

だからあえてそれを狙いました。

 数ある在庫の中から、見た目、形、大きさから、

どう見ても安納芋にしか見えないイモを、まず「蜜いも」として出荷。

 これを繰り返す事により、この出荷者の「蜜いも」=「安納芋」と

消費者、お客にすりこむ。

 出荷作業中にお客に「コレ何芋?」と聞かれれば、

「いわゆる安納芋です」。

「ただ、蜜いもという表現しか出来ないんです」と平気で言う。

口頭でちゃんと説明してるので、何も違反では無い。

 
 この作業をひたすら繰り返した。

陳列を終えても、さりげなくウチのイモに近づく客には声をかけた。

 これで、

我家のサツマイモ=蜜いも=安納芋という暗黙の土台を作った。

 その後は、同じPOPで、形のおかしい(長い芋)でも、

この出荷者の蜜いも=安納芋として売れるようにもっていきました。

この生産者の言う、「蜜いも」=「安納芋」と認識されるように。

 これがいいのか悪いのか(悪いと思って無い。。)、

限られた販売制限の中では、何かしら戦略を立てないと攻略は出来ない。

 安納芋出荷者は、ザッと見ても5~6人はいましたが、

「安納芋」と、うたえない以上、ただのサツマイモと同等の扱いになり、

泣き寝入り価格での販売する人が多かった。。。

そうなると、小遣い稼ぎの出荷者は平気で叩き売りに出る。。。

「僕はそんなんな泣き寝入りはゴメンだw」

だったら紅あずまを安価で売るのと同じやん。と。。

 単純計算でも、安納芋は紅あずまの2~3倍の価値と金額。

もちろん、安さウリの直売所ではその価格は通じないので、

せめて紅あずまの1,5~2倍の価格で売りたい。

 っていうか、

それくらいのプライドと信念と工夫と価格を維持しなけば、

やっていけない。。。(=喰って行けない・・・;;)

 これで来年は安納芋出荷者が減るか、それともマネされるか、

それはわからない。。。

 毎年、毎時期、同じ品目・品種の出荷は戦争に近い。

何かしら、珍しいとか、栽培方法が特殊とか、付加価値をつけないと

大規模出ない限り、本気で稼ぐ事は出来ないと思う。。

「安い」「高い」の簡単な争いから、品種、そして売り方とPOP。

やれる事・やる事・工夫する事・そしてなにかしらの「裏道」

 全部考えて、やっと売れるのが直売所での販売戦略。

いや、売るだけなら誰でも出来る。正当な儲けが出せるか?が違う。

 
 まあ、稼ぎたい生産者と、趣味でやってる生産者が同じ土俵に

立つ訳だから、なにかと難しい面は多い・・・。

 とまあ、安納芋が安納芋として売れなかった訳ですが、

毎日思考錯誤でなんとか売れる範囲のモノは売り切れました。

そのかわり、毎日が勝負になるような状況でしたけど・・^^;。

 他の安納芋の出荷者・売り方・価格、

常に目を見張って日々対応する12月でした。。

来年はどうなるかわかりません・・・。

さらに生産者が増えるのか。

逆に減るのか。。

新しい戦略で売ってくるのか。。

 単価的にも当たればデカい品目・品種なので、

僕としては来期も真っ向勝負でいくつもりです。

 遊び・リハビリで始まった野菜作りが、徐々に真剣勝負になってきました。

↓更新の励みにたぬきを1日1クリック応援をよろしくお願いします

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (11件)

  • ”案納芋”でも”あんのう芋”でもいけないんでしょうかね~。これでは○国です。長期的な信頼を失ってしまいますね。

    安納芋は品種名かと思っていました。品種名は別にあるんでしょうかね?

  • >たつきさん
    ○に安はセーフだそうです・・
    でもそれじゃあ「安い」って表記と思われそうで使うに使えないし;。

    僕も詳しくは農協に聞いていないので、どこがどう何故ダメなのかわかりません、やはりあれは地域の特産物としての表記なんでしょうね。

  • 「安納芋」や「安納いも」は商標登録はされていないみたいですよ。「育種登録」された品種名としては、「安納紅」「安納こがね」「安納もみじ」があるようですが、その元である「安納芋」自体は古くからつくられていた品種で、名称も普通名称化しているために商標登録できなかったんじゃないでしょうか(普通名称化したものは登録商標として認められない/商標法第3条第1項の各号)。芋として直接関係する区分では「種子島産 安納いも」などが商標出願されていますね(商願2010-89049)。

    似た事例としては南瓜の品種の「宿儺南瓜(すくなかぼちゃ)」があります。これも青果標準名としても使われる普通名称であって商標登録できないようで、「両面宿儺」というのが野菜等の区分で商標登録されています(商標第4585336号)。

    当該関係者は、すでに普通名称化しているものを自分たちのものとしたいのかどうか、その辺を曖昧にしてる事例が多いような気がします。(地名+一般名称)が一般品種名となっているものは多いですね。現場での名称使用がどうなのか、市場や関係官庁に確認してみたいなと以前からちょっと思っているんですが。

  • >H2さん
    とても詳しく説明して頂き、白目をむいております@@;。。実際、安納芋の苗とうたって販売している業者が茨城だったり、何が正規で何がアウトなのか、かなりグレーゾーンですね。

    ちなみに、すくなカボチャも書こうと思った事例そのものです。直売所ではすくなカボチャの表記はアウトでした。種すら手に入りませんので、自らカボチャ自体から種を取って生産している出荷者がほとんどです。形状でわかる人はわかるのですが、表だって「すくな」と書く事は禁止されています。

    H2さんがそこまで調べてくださってるので、
    今度自分自身で何故その名前が使えないのか農協に直接聞いてみたいと思います。

    ささいな疑問に詳しくお調べ・回答頂き大変勉強になりました。
    自分ももっと深く調べてみようと思います。

  • 何かいいオリジナルな名称を付けて育てていくのも手かもしれませんよ。

    仕切ってるレベルの農業関係者でも、個々にちゃんと把握してる人は多くないかもしれませんね。なんかダメって聞いたことがあるから念のため止めとこうみたいな。ただ、品種系統をあらわす名称をダメとされると困っちゃいますよね。

    丹生川村のブランドすくなかぼちゃは、出荷用の南瓜はわざと交雑させてあり、種採り用は別途に栽培・選抜して生産関係者のみに配布しているそうですね。ちなみにその個体の種からは島かぼちゃのような個体が成りました。ただ、元々の品種は飛騨地域を中心として昔から永くつくられてきたもので、個々の農家が自家採種を続けて作っているので、そうした個体の種はかなり固定されていますね。

    野菜って自家採種を繰り返していくと、その土地の気候風土に適応して特質を変えていきますが、実はすくなかぼちゃを元にしてそれをやろうとしているところです。どんな風に変わっていくかはわかりませんが。地元の地域を象徴するようなオリジナルな名称の案もたまたま思いついたので、もしいい感じになれば商標化とかせずに地元で広めるのも面白いかなと思ってます。受粉も蜂まかせの家庭菜園からですから、はるか遠い話ですけど。

  • >H2さん
    すくなカボチャはやっぱガッチリと守られてるんですねー。
    半ば放任で作れるカボチャは生産者も多く、ピーク時になれば直売所にものすごい量が出回っています。
    そんな中でもすくなだけは異色です。値段も形も価値も。
    一度、すくなを出荷してる人に聞きましたが、やはり種が手に入らないとの事。岐阜で買ってきたカボチャから種を無理矢理採種したそうです。
    もちろん、すくなという名前は使えないので、ただのカボチャとして出荷してますが・・・。
    ただ、やっぱりこの方法では、味と品質もせいぜい2代までくらいで精一杯だそうです。
    味も形も1年目、2年目と確実に落ちていくそうで、最終的にはやはり不味くて食べられないくらいになるそうです。

    コチラ地域でも、地元ブランドの品目・品種はありますが、そこに足を踏み入れると、組合とか部会とかに属さないといけないという面倒な事にやっぱ巻き込まれます><;
    種苗の確保・販路等、助かる面もありますが、栽培方法・規格・値段・品質等、規制の部分はかなり出てくるので、野菜作りの面白味はほぼ無くなっちゃいます;;

    今は品種そのものをブランド化として目指すより、生産者としての名前をブランド化(大げさかもしれませんが)させる方向で頑張ろうと思っています。
    どんな野菜であれ、この生産者なら買ってみよう、と、まずはそういう信頼を得ないとという思いです。
    小さな田舎の、安いがウリの直売所なので、結構生産者の名前で買って行く消費者が多いので、今は生産者として名前を売るのが先決かなあ。

  • こばじろうの○○、って感じですかね。そういうパターンで名前シール貼って売ってる方見かけますね。他の人が同じ名前を使いにくく覚えやすい特徴的な名称であればありですね。

    自家採種に関しては、一般農家の知識は未熟だと思いますよ。なのでその聞かれた話でだんだん形質が悪くなったのは、最初の種子の入手前も含めて、交雑しているか、あまりよくない個体から採種したか、栽培方法が適切でなかったかだと思います。種苗メーカーから委託されて販売用の種子を生産する採種農家も、固定種のかぼちゃに関しては、交雑しないように雌花の開花前に袋をかけて手で受粉させ、適切な栽培をして、意図する特徴がしっかり出ている質の良い個体から採種する、ということをきちんとやっているだけですからね。ただし、選抜・育成を繰り返してそれなりに固定された品種でも、隠れた遺伝子の発現や突然変異で形質の違うものは出ます。純系になりすぎると弱くなるので、種苗メーカーでは時々良質な遺伝子をもった品種を掛け合わせて選抜し直すこともあると聞きますが、それはまた別の話で。

    ちなみに、すくなかぼちゃ系のF1種が、ナント種苗から「甘龍南瓜」として発売されています。10粒で1050円(去年は840円だったのに)とかなりいいお値段ですが、適切な自家採種が難しいならこれを利用するのも手ですね。

    かぼちゃはいずれは加工したいなーって思ってます。すくなかぼちゃなら、砂糖を入れずに素材の甘みのみでおいしいので。

  • >H2さん
    はは。いますね、「○○さんちのこだわり野菜」とか。。あれは一応ルール上問題無いみたいですけど、そこまでやれる自信はまだないなあ^^;
    まあ、値札に名前が自動で入るので、それで今は覚えてもらう方がいいかな。

    甘龍、さすがよく御存知ですね^^;どうせ「すくな」という名前が使えないのなら、コレ作って黙って出荷したら、勝手に消費者がすくなと思って買うんじゃないか?って思った事がありました。
    でもまあさすがに良心が・・・って事でやめました^^;
    味はどうなんでしょうかね?すくなとあんま変わらないのかが気になります。

    ただ、カボチャは旬になるとモリモリ出回るし、売上の回転も悪く、栽培にも場所を結構取るので、採算的には案外微妙なんですよね;;

    でも興味はあるので、3株くらいは作ってみようかなw場所があるかなあ~><;

  • かぼちゃ、直売所ではいまいちなんですね。スイーツ屋さんとかと大口供給契約ができるとよさげですね。個人経営のとこでも。かぼちゃとかサツマイモとか基本素材として大量に使いますからね。

    野菜の名前って、育種登録された品種名、品目とその中の大まかな分類を示す青果標準名、自由につける商品名、の3通りがあると思いますけど、「すくな」が法的にはともかくダメと言われるなら、甘龍南瓜ならそれをそのまま表示するか、あるいは商品名として例えば「(こばじろうの)翡翠かぼちゃ」と名付けて広めていくとかでしょうかね(自分が考えてる名称はまた別のものです)。かたちが特徴的で覚えやすいし、一度食べればおいしいのはわかるし。

    でも栽培場所の確保が大変なんですね。まだバリバリの生産者がいっぱいいて借りるのも難しい感じの地域なんですか?

  • >H2さん
    市としては結構な農業市ですが、住んでる地域としてはあまり農地がありません。

    農地を借りるとなると、何と言いますか、ぶっちゃけいろりろしがらみがあって気軽には借りれないんですよ;;

    同級生が持ってる農地、とかならいいですが、
    60代、70代、いわゆる団塊の世代の農地が多く、相続で揉めてる農地も多いんです。。。

    農地の売買・貸借は非常にデリケートというか、
    面倒な事に巻き込まれるので簡単に出来ないのが現状です。

    あと、今は1000坪まで農地を広げましたが、小型管理機一つと、健康面で、これ以上農地拡大は現状厳しい状態なんです;;
    農機・資金・健康面、すべて揃わないとこれ以上は厳しいかなあ;;

    まだ記事にしていませんが、昨年も身体が追いつかず、大変なロスを発生させてしまいました;

    今年は1000坪を無駄なく結果を出したいと思っています。
    身分相応って事で、現状の圃場さえ失敗こいたので、今年は今ある圃場でしっかり結果を出さなければいけない状況です。

    その後ですかね、新しい戦略打ってでるのは。。
    今は現状でいっぱいいっぱいです;;

  • なるほど。土地への執着がある人が多いのは大都市近郊だからですかね。ほんとの田舎だと、子どもがいない/まちに家を建ててもう戻ってこないという家も多く、兼業での農業すらやらない世代に移行してきたので、続々と地域の農業法人ができて集団管理になってます。そういうとこだと土地は借りやすいですけどね。

    しかしトラクターは欲しいところですよね。借りたりできるといいんでしょうけど。小型管理機で1000坪は十分広いと思うので、無理してカラダ壊さないように気をつけてくださいね。

たつき へ返信する コメントをキャンセル

CAPTCHA


目次
閉じる