パプリカ栽培において、避けては通れない課題。
「尻腐れ病」
これが緑色の果実から着色するまでの「魔の期間」です。
2011年は3種のパプリカを作りましたが、とにかく尻が腐った;;。
特に興味本位で種から栽培したジャンボ系は、色が着いて行く段階で
7割くらい腐った。。。;;。
毎日毎日尻腐れの果実を処理・破棄の連続なので、
こっちの尻まで腐りそうになる気分だった・・・
しかしこれを乗りきらないと「パプリカ」として商品にならない。
だからまあ、パプリカは高価なんですけどね。
さて、「この尻腐れ病」
大抵の場合は「カルシウムの欠乏」と耳にする事が多いでしょう。
果実へのカルシウムや水分の補給が滞る事で発生します。
カルシウムが不足すると細胞壁が弱くなり、その上葉の蒸散が多くなると
果実の水分が奪われ、表皮が破壊され、それが尻腐れになる。
特に、
「ザーザー雨が降り、その後カアーっと晴れる」
このタイミングが一番怖く注意しないといけない。。。
一見、土壌に水がたっぷりで良いイメージがあるが、そこが注意点。
水分が多すぎる事は、逆に根の吸水力が落ちる事になる。
そこに急な晴天と強い日光・高温が訪れると、一気に葉の蒸散量が上がる。
つまり弱った根からの吸水量が蒸散に追いつかない状態になる。
すると、株全体で足りなくなった水分をどこから使うかというと、
「果実」から消費する事になる。
追い打ちをかけるように、果実への水分補給が止まれば、
当然カルシウムの補給も止まる。
こうして果実の細胞壁を作るカルシウムが無くなり、細胞壁は破壊。
そして尻が腐る。
これがザッと僕が調べた尻腐れのメカニズム。
なので、「梅雨明け直後」などは特に危険な時期に当たります。
そもそも、「水」「日光」「温度」など、植物が育つ大事な要素の中で、
ピーマン・パプリカにとって一番大事なのは、実は温度。
夏野菜と言えど、ガンガンの強い日光は思いのほか、
ピーマン・パプリカには過剰に必要無いんです。
むしろやたら強い日光は尻腐れをはじめとする多くの病気に絡んでくる。
「雨のドシャ降りと強烈な高温・日光」
これのちゃんぽん状態がパプリカにはもっともこたえる・・・><;。
それに元々、ピーマンは「雨が嫌いなんです」
水分は要りますよw雨のように、株ごと濡らすような状態が苦手。
これは余談ですが、覚えておくと面白い話。
「葉を見れば雨好きか雨嫌いかがだいたいわかります」
おおまかな話ですけどね。雨嫌いな野菜の葉は水をはじきやすい
表面になっている。逆に雨好きの野菜の葉は、雨をはじきにくい
構造というか、ザラザラしてたりします。
水をガンガン欲しがるキュウリとか、葉がザラザラしてるでしょ^^。
干ばつに強いサツマイモなんかは葉がツルツルしてます。
まあ、参考程度のこぼれ話ですので、気が向いたらいろんな野菜の
葉を見てみるのも面白いかと思います。
話を戻し、じゃあ尻腐れをいかに防ぐか。。。
その前にぶっちゃけね・・・、
「露地でパプリカ栽培自体がそもそも難しい」
これをまず念頭に考えておいて下さい。
天候・お空の機嫌一つであらゆるリスクが一気に来る作物なので、
市場に出回るパプリカのほとんどはハウス栽培です。
それを踏まえて露地でパプリカを栽培し、尻腐れなどを防ぐ場合、
「まずはやっぱりカルシウム」
栽培過程では水に溶かして噴霧する塩化カルシウム剤で良いでしょう。
もっとさかのぼれば、土作りの段階で必ず
「苦土石灰」をしっかり入れる事!
石灰ならなんでも、、、ではありません。「苦土」が大事なんです。
単なる微要素と思いがちですが、以前農協の栽培・指導のプロの人に
お会いした時に相談したら口酸っぱく言われました><;。
「苦土は大事!!!かなり大事だよ~~」と、苦土についてクドクド言われ。。
苦土がしっかり効いてる野菜自体、そもそも病気に強くなる。
ましてやカルシウムを欲しがるパプリカでは「必ず入れるべしw」と
言われました。
「極端に聞こえるかも知れませんが、基本の1、2~1、5倍入れてもいい」
とまで裏指導までされました。
そして、
「無謀な品種は避ける事」
通常サイズでそこそこ肉厚な品種がベスト。
ジャンボ系や小型系は、面白みや魅力がありますが特に尻が腐りやすい。
2012年、苗販売で余った「タキイ」の「フルーピーシリーズ」
これは昨年、簡単に栽培出来ました。
元々、苗売り用として種からやってましたが、
苗販売の売れ残りのクズ苗が数株出来たので、放任半分で適当に
畑の隅っこに植え付けてみましたが、尻腐れや病気もなく、
ほったらかしの割にはずいぶん楽に育ちました。
なので個人的に初心者にはおススメ品種の一つかな。
ただまあ、種からとなると2~4月の育苗時の温度確保が大変なので、
苗から購入しての栽培が無難でしょう。
あとの尻腐れ対策は細かい事を言い出したら結構キリが無いです^^;。
カルシウム欠乏以外には、
「チッソ過多」
「過度の乾燥」
ここくらいまでは注意しましょう。
さらにさらに対処したい人は、
・少量多回数の潅水にする。
・盛夏期の夜間少量給液よる水分補給。
・大雨後の晴天時に遮光をし、日射量の急激な変化を抑える。
・夜温を下げる。
・
・
・
などなど、、、実際にはあれもこれもは出来ないですし、
すべてをやったからといって100%大丈夫という事もありません。
極めるとこまで極めたら、結局はハウス栽培に辿り着いてしまいます。。
露地でパプリカをやる以上、運任せ・お天気任せの部分はしょうがない。
とにかく、「あ、尻が・・・」って思ったらサッサと摘果しちゃいましょう。
自分のお尻も「あ、尻が・・・」って思ったらすぐに病院に行きましょうw
不良果を残してても養分取られるだけですし、傷んだトコだけ取れば、
食べれるって言えば普通に食べれますw
放置してならせておくと、ドロドロになって落果するだけです。。
これが結構服につくと臭いんですよね;;。
「皆さんも、お尻・・・お大事に・・・」
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コメント
コメント一覧 (2件)
へぇぇぇー、農業ってこんな奥深いんですね
たくさんの雨で水分たくわえて、カラッと晴れる太陽でぐんぐん成長するものかと思ってました。
葉っぱのツルツル感で雨が好きか嫌いかわかるなんて、目からウロコ!!
わたしは夏になるとプランターでちまちまとプチトマトやオクラを育てているんですけど、今年は葉っぱに注目してみます!
こばじろうさん、おもしろい情報ありがとうございます
>まーちんさん
すべてがすべての作物に当てはまる訳では無いですけどね^^;
植物も、動物や昆虫と一緒で葉っぱ一枚とっても生き残るために進化や形状、それなりの理由がそれぞれあってその形になっているという事でしょうか^^。