「バタンッ」という音に気付き、ケージを覗く。
そこには横になったうさぎがいる。
昔ならこうやって大きな音をたててひっくり返り、とんでもない恰好で昼寝していたもんだ。
とてもなじゃないが、最後にそんな昼寝を見たのは、もう1年以上も前の事。
一旦、落ち付いて、呼びかけたり、口で音を出したりするも耳が反応しない。
そう、
また神経麻痺の発作である。
前回の危篤から、細かな発作は数回起きていたのだが、今回のそれがどことなく違うのは直感した。
動こうとしようとする気配があまり感じられない。すぐさま保温と安静の準備をし、抱きかかえて移動させる。
抱きかかえようとした時、うさぎ本人もおそらくパニックになっているのであろう、後ろ脚をバタつかせ
空中を蹴り上げる。その蹴り上げる力が尋常ではない。
こんな老衰した身体のどこにこれだけの脚力が残っているのかと思うほど。。。と、同時に、
そんな無茶苦茶な力を出してる時点で、本人の意識が完全に飛んでる、危険な状態というのも悟った・・・。
前回の時はしばらく無意識に暴れていたので、今回もそうなると思い、問題は病院まで持つかどうか。が、
抱きかかえた瞬間、それまでの動きが嘘のようにピタっと止まる。
蹴り上げていた後ろ足は、抱きかかえた僕の胸の中で伸びきったまま硬直していき、
目はうつろ、耳はすでに血色がなく、はじめて見る薄い水色になっていた・・・。。
かすかに動いているが、もうここから用意したキャリーバッグに下ろすことはしなかったし、出来なかった。
ただただ、胸の中で温めてなでてやることしか・・・
すでに脈は体感では感じる事が出来ないくらい弱く、何度か息を引き取ったと思ったほど。
なで続けるも、、すでにもう反応はしなくなった。
倒れてからあっという間の5分間・・・
最後に、息を引き取ったと思ってあきらめた数秒後、、、
それでもまだ口と左前脚が小刻みに動いたのを見届けた。
まるで何か喋って手を振られたかのような動作に胸がつまった。
(もういいよ・・・。ゆっくりおやすみ・・・)
そうつぶやいて、そっと手で閉じた目はそこから開く事はなかった・・・。
そして11年間の付き合いに幕が閉じた・・・。
2009年10月31日午後3時25分 永眠。
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